URATO

Concept, Graphic, Logo, VI+CI, Art Direction

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【Background】
株式会社テレビ東京コミュニケーションズ(TXCOM)が運営する音声コンテンツレーベル「裏東(ウラトウ)」のロゴデザインを担当。
TXCOMは、近年の国内外における音声メディアへの関心の高まりから、音声メディアの市場に注目。新規事業として、音声コンテンツの醸成と新しいビジネスモデルの構築を目指し、「裏東(ウラトウ)」を立ち上げた。

制作を手掛けた「ハイパーハードボイルドグルメリポート no vision」が2022年、第3回JAPAN PODCAST AWARDSで、「大賞」「ベストエンタメ賞」を受賞したことなどをきっかけに、立ち上げから2年を経て改めてブランド・アイデンティティを整理するタイミングで、MY HEADは参加した。

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【Concept】
ロゴを制作する上で、まず気になったのが「裏東」における「裏」とは、そもそもどういう概念なのか。まずはその輪郭を探るために、ヒアリングから開始した。

そこでは、こんな話を聞かせていただいた。テレビ東京は、もちろん普段は視覚コンテンツを作ることが多いが、「テレビカメラ」というものの強さ故、出演する側も、させる側も、その前では身構えてしまう。だが、ひとたびテレビカメラを置くと、演者や取材対象もリラックスして色々な話をし、普段見せない奥底まで受け入れてくれる。
つまりそれは、テレビカメラを置くことで初めて入ることができる、個人の思考部分ではないだろうか。人体を断面で見れば、目の奥には脳がある。表層的な視覚のメインストリートを抜けて、裏側の脳にまで辿り着く。そんなようなイメージが頭に浮かんできたため、それを上図のように示した。(もちろんこの解釈図は観念的なものだ。しかしそれこそが遊びである。)

テレビは巨大なメディアであるが故に、その図体では、表通りから細い裏道に入ることはできない。しかし、カメラを置いて身軽になれば、細い路地にまでするりと抜けることができるようになる。そこは裏路地だからこそ、様々な実験もできるし、メインストリートでは出会わない友人と出会い、楽しい遊び方ができる。一時のトレンドを追う必要もない。

そういったイメージ構造ができると、むしろ身軽な音声メディアの方が、小回りを無くしてしまった視覚メディアよりも遥かにアドバンテージがあるようにも思えてきた。「裏東」における「裏」の定義とは、視覚のさらに奥にある思考部分(脳)のことだと、上記の考えから導き出すことができたのだった。

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【Logo Design】
前述のように、アンダーグラウンドでポップな「楽しい裏通り」を裏東は作っていくというコンセプトを立てた。では、ロゴデザインにおけるモチーフは、思考部分に携わるものであることが妥当だろうか。例えば脳とか。
答えは否だ。「裏東」は、従来の音声メディアではなく、テレビ局のナレッジを転用していくことを是としたい。あくまで「テレビカメラを置いていくことで前進した視覚メディア」であることが大事なのだ。インナーに向けても、その意識は醸成していきたい。音声メディアでありながらロゴのモチーフに目を選んだことは、当然の帰結だった。

その裏通りは、聞き手にイメージを委ね、想像力を活性化させることにより、時には視覚よりも数段鮮やかな世界を見せてくれる。
視覚に訴える手段を持たないことは決してマイナスではない。引き算によって「新たな目」が開眼するのだ。「裏東」は、テレビから視覚を引くことによって、映像では届かせることができない裏側の思考部分までリーチし、さらにその先へと踏み込んでいく可能性を秘めたメディアだと自らを定義する。「視覚メディアのその先へ。」そんな思いを込めてロゴは制作した。

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ロゴタイプやマークのデザインは、どこかの裏通りに貼ってあるようなステッカーをイメージしている。カラーリングはベーシックな青を置き(テレ東ロゴカラーと同一)、全部で5色の展開を基本とした。また、ロゴの部分可変や加工、カラーの組み合わせ方なども可能な限り自由にし、レギュレーションは作成した。きっと、なんでもありだからこそ、裏通りは楽しいのだ。

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Producer: Yosuke Inoue (TXCOM)
Art Director / Graphic Designer: Yu Miyazaki
Client: TV TOKYO Communications Corporation