The Japanese Highball Bar 1923

Concept, Graphic, Editrial, Logo, VI+CI, Space, Art Direction, Photo Direction

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【Background】
SUNTORYグループの新会社Being Beyond Bordersが、アジアを中心にグローバルで展開するハイボールバーをオープン。
Being Beyond Bordersは、Beam Suntoryの幅広いウイスキーを使ったハイボールを通じて、豊かな生活や新しい体験を作り出すことをミッションとする。中長期的には、未だ根付いていないアジアで、ハイボールが飲まれる文化作りに挑戦する。その最初の店舗が2022年5月にバンコクにオープンした。その名も「The Japanese Highball bar 1923」。「1923」という店名は日本のウイスキーの歴史が始まった「サントリー山崎蒸溜所」が設立したのが1923年だったことに由来する。
MY HEADはブランドのアイデンティティデザイン・コンセプトメイキング・ツールデザインを担当した。

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【Concept】
クリエイティブコンセプトは「-&-(Connected Two Things)」と定めた。オリエンにてヒアリングをした際、「酒は時代を超えて人と人を結び、社会を築く力であり続けている」という言葉があったことに着目。それこそが、Being Beyond Bordersの社名の通り、境界を越える力だと理解した。そして、パンデミック禍において「人間らしさ」とは、人とのつながりの内にあったというクライアントの気づきも大事なポイントだと考えた。

そこから、酒の本質である「何か」と「何か」を繋げる力を「&」の記号に見立て、コンセプトの中心に立たせることを思いつく。その「何か」とは、時には「人」と「人」であり、「日本」と「アジア」であり、「昼」と「夜」であり、「現在」と「未来」であったりするのだ。1923は、「&」のような「繋げる存在」になることを目指すべきだと考えた。

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【Basic Logo】
ロゴデザインは、コンセプトの「-&-」を踏まえて、2つの物事を繋げているモチーフが良いと考えた。そこで思いついたのが、古くから日本に伝わる妖怪の「猫又」だった。長生きした猫は尾が2つに裂け、妖力を持つようになるというアレだ。2つの尾は胴体に依って繋がっている。その胴体の持ち主は言うまでもなく猫である。2つを繋ぐ始点にいるのが猫であるということが、ここでは大きな意味を持ってくる。

「ウイスキーキャット」という存在をご存知だろうか。ウイスキーの蒸溜所にはネズミなどの害獣が出る。それらを駆除するために飼われていた猫たちが居て、彼らがウイスキーキャットと呼ばれていた。

ハイボールの原料であるウイスキーを、1923年から99年間守り続けてきた守り神的なウイスキーキャットが猫又化し、今も1923の店舗を守っている。そんなストーリーを考えつき、ロゴマークは猫又がベストだと考えた。ちょっと不思議な動物のアイコンは、アイキャッチにもなるし、非日常の入り口に立つ門番のようでもある。

猫又は日本の妖怪だが、1店舗目はバンコクでオープンするので、タイの地元の猫である「シャム猫」をモチーフにした。「妖怪×海外種」というミスマッチさも、日本とアジアの混合を表していて良い。ちなみにロゴの下部にある「Krung Thep」とは、現地の人の言うバンコクの呼び名である。

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【Premium Logo】
ハイボールという文化はアジアではまだ発展途上だ。そのため店内の作りは明るくオープン、普段お酒に親しんでいないライト層も入りやすい作りとなっている。しかし、1923の目指すハイボールの「文化」を正しく伝えるためには、深く理解してもらうことも不可欠だ。
そのため、店舗ではB-SIDEとして、プレミアムなハイボール体験をするスペースを設けることになっている(Krung Thep店はパイロット店舗のため未設置)。
そういったよりディープな体験を促すためのプレミアムロゴも個別に作成した。こちらのロゴは「1923」をモチーフに、グラスを握る手を暗喩する。極端に外観を記号化することで、暗号のような「知る人ぞ知る」という気持ちを作ることを目指している。

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【Statement】
ステートメントとしてはいくつか提案の後、「Beyond Just Drinking」を採用。前述のように、「飲むこと」は本来的な目的ではない。それによって人と人を繋ぎ、文化を創造することが1923の目指すところである。「飲むこと」を超え、その先へ向かうことが本分であるという思いをステートメントでは表現。この言葉は、Being Beyond Bordersという社名とスピリットにも繋がっている。

ちなみに英語圏のネイティブスピーカーに依ると、「超えた先に何があるのか明示しないところが日本人らしい」とのことだそうだが、それも踏まえてメンバーは面白いと思っている。曖昧さを愛すのも日本人のカルチャーだ。

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【Color Scheme】
ブランドカラーは、日本の潔い精神性を表す「黒」(1923 Japanese Black)と、ウイスキーの液色に由来する「琥珀色」(1923 Whisky Gold)に設計。また、越境する精神を全てに繋がる空に見立て、深い「青」(1923 Beyond Blue)をセカンダリーカラーに置いた。

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【Fonts】
ブランドフォントはサンセリフ体のPx Groteskに指定。カバーとして、セリフ体のTimes New Romanをセカンダリーフォントに置いた。
Px Groteskを選んだのは、ところどころ鋭角でエッジーな表現が混じるフォントであるため、1923の「新たな文化の創造」に挑戦するラジカルな精神性を表現できると考えたのだった。

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【Menu】
メニューはドリンクとフードに分け、2種をデザイン。ドリンクメニューはハイボールのビギナーがメインユーザーになることを鑑み、マトリクスで味の方向性をアテンドする設計に。タイではアルコール類は写真で表現することができないので、イラストを描き対応した。フードは、バーフードを中心に「Craft & Crisp」をテーマにしている(ここでも「-&-」が生きている..!)。日本では何故か根付いている「〆のバーのカレー」もメニューにあるのが嬉しい。

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【Uniform】
お酒でありながらも、カジュアルな飲み物であるハイボールのイメージに沿うように、ユニフォームはラフなTシャツに染めのエプロンを合わせることを提案した。前面にロゴ、背面にステートメントコピーをシンプルに遇らう。エプロンからは猫又の尻尾がバックプリントで見え隠れする。

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【Coaster / Business Card】
コースターは、実はバーの雰囲気作りにひと役買うものであると僕は考えている。素敵だと持ち帰る人もいるし、それだけで宣伝効果もある。バー好きからすると、これに力が入っていると嬉しいものだ。と、いちユーザーとしてはそう思う。

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【Glass】
コップは薄張りのそれにロゴを堂々と遇らう。裏面には猫又のウイスキーキャットをこっそり配置。エントランスのロゴマークもそうだが、シャムの猫又は、あまりストレートな場所には置かず、ひっそりと見守っているという設定がある。

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Producer: Shingo Misawa(Being Beyond Borders Co., Ltd)
Art Director / Graphic Designer: Yu Miyazaki
Illustration: Yu Miyazaki
Bar Director: Aki Eguchi(Jigger& Pony Group Singapore) / Nanthawat Klinhom(Being Beyond Borders Co., Ltd)
Food Director: Shinji Hara(Being Beyond Borders Co., Ltd)
Project Manager: Shoichi Suzuki(Being Beyond Borders Co., Ltd)
Space Design: Yuichiro Kobuki(MYU PLANNING Inc.) / Ayaka Kawai(MYU PLANNING Inc.)