SHINTOKYO

Graphic, Web, Logo, VI+CI, Art Direction

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【Background】
ギターレス・シティポップバンド「新東京」のロゴ・WEBリニューアルを担当。友人であるクリエイティブ・ディレクターが元々新東京のファンであり、YouTubeライブで彼らがホームページを新調したいと発言したことに対してコンタクトをとったことから仕事が実現するという、稀有な始まり方だった。

【Concept】
熱意あるファンのクリエイティブ・ディレクターの主導のもと話し合い、コンセプトは「Straying Lines & Beautiful Entanglement」に決まった。さまよう4つの曲線がモチーフであり、これらはメンバー4⼈⾃⾝を表すとともに各パートの動きも象徴する。「stray」は「さまよう」「さすらう」の他に「⼀時的に正道から踏み出る」という意味もあり、これは「シティポップシーンにはいつつもドセンターじゃつまらない」という、新東京のアウトサイダー精神も表している(とのこと)。

「entanglement」は直訳すると「もつれ」「絡まり合い」であるが、これは現代物理学の「量⼦は⼀⽅の状態が確定した瞬間に、対になる量⼦の状態も確定される」という「量⼦もつれ」のイメージを表している。「量⼦もつれ」は、互いに影響し合い、⾃由でありながら秩序めいた美しさがある新東京の響きとも整合する。

上記のコンセプトから、デザインモチーフを策定。デザインは4本のラインを主軸にしつつ、新東京というネーミングの通りに、「新たな都市の群像のイメージを構築する」ことを使命とする。また、ポップでありながらラディカルである新東京の持つ魅力を表現するべく、ラディカルでありながら優雅であり、複雑でありがら理解しやすい、二律背反的な価値観をWEB全体に入れこんでいくことを目指すのだった。

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【Brand Identity Design】
まず最初に、プロジェクトはロゴの整理から始まった。ロゴは2種あり、「新東京」というロゴタイプと、NTM(Neo Tokyo Metro)というマークを彼らは使用していた。
新東京のロゴタイプは、元々の游明朝のものに愛着があるとのことだったので、引き続き游明朝をベースに形を細かく整理。NTMも既存のマークの持つイメージを壊さない方向にしつつ、レイアウトのバランスを整えた。この時既にWEBのイメージも固まっていたので、レイアウトを整理しつつ、少し秘密結社のような謎めいた雰囲気を感じる余地を残して調整している。

カラーリングは新東京リーダーの田中さんと話した際、「新東京のイメージは、黒ではあるが完全な黒ではなく、少し緑がかったイメージ」と仰っていたので、それをベースカラーにすることにした。

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【Web Design】
WEBサイトはターゲットの年齢層を考慮してモバイルファーストで作成。TOPは、メンバーを象徴する4本のラインが常に交わり、もつれるという動的要素で構成している。
全体の要素は全てコンセプトに基づいたイメージが感じられるよう意図されている。すなわち、「フューチャー←→ノスタルジック」「自由←→整然」「アンダー←→ライト」などの二律背反的なイメージである。

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【Slit Animation】
二律背反性のイメージの象徴として、スリットアニメーションを一部デザインに入れ込んだ。スリットレイヤーを手前に配置し、スクロールするとその隙間から見えるものの形が変わる、仕掛け絵本などによくあるアレである。本来ウェブサイトであればデジタルでアニメーションを作ることももちろん可能なのだが、そこをあえてアナログで制御することで、新東京の持つイメージを暗に語ることができるのではないかと考えたのだった。

Creative Director: Kei Sakakibara
Art Director / Graphic Designer: Yu Miyazaki
Copywriter: Kei Sakakibara
Web Engineer: Kazuya Okamoto
Production: Studies Inc.
Client: SHINTOKYO
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