ROKKAN by ROKU GIN

Concept, Book Design, Film Direction, Graphic, Editrial, Web, Logo, VI+CI, Space, Art Direction, Photo Direction

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【Background】
サントリージャパニーズクラフトジン「ROKU〈六〉」 ブランド初のコンセプトショップ「茶室BAR ROKKAN by ROKU GIN」が2025年6月、グランドプリンスホテル高輪内にオープン。そのブランドアイデンティティ(BI)デザインおよびグラフィックデザインを担当した。
事前予約制の「ジャパニーズクラフトジンROKU〈六〉体験コース」と、予約不要でROKU〈六〉を使用したアラカルトメニューを楽しめるBAR営業の二部制で営業している。体験コースのセミナーでは、ジンの奥深さ、そして和素材を“旬”の時期に収穫し、鮮度を保ったまま浸漬・蒸溜している「ROKU〈六〉」のこだわりを体感できる構成となっている。

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【Concept】
当初は別のネーミングが仮でつけられていたが、「ROKU〈六〉」にちなみ、「ROKKON」(六根)という店名とコンセプトを提案。六根とは仏教用語で「眼・耳・鼻・舌・身・意」の六つの感覚を指す。それをネーミングに使うことで、五感+心で味わうバーを表現できると考えた。それは、このバーを単に飲むための場所ではなく、感覚を開き、静かに世界と向き合うための、限られた人だけが辿り着く”感じるための場所”として定義しなおすことでもあった。
このコンセプト自体はその後も踏襲されていくが、ネーミングはSUNTORY側との協議を経て、より直接的に伝わる「ROKKAN」(六感)として調整された。

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【Logo Design】
ロゴは日本の氏族を象徴する紋章である家紋をイメージし、六角形をベースに考案。六角形は構造的に強く、安定性を持つ形である。また、6という数字は完全性や調和を表す意味を持つもので、仏教では先に述べた六根の他、六道、六波羅蜜といった言葉があり、深い意味を含む。
それらの意味合いを込めて、六角形と数字の6のみで完全に構成する家紋を作成することを考えた。そして、エッセンスとして曼荼羅(マンダラ)をモチーフとして入れておく。曼荼羅は、仏教やヒンドゥー教で宇宙の真理や悟りの境地を表す図であり、中心に仏や神を据え、周囲に関連する存在を配置する。密教では瞑想や修行の指針として用いられる。感覚を開き、静かに世界と向き合うためのバーは、そういった精神性を感じさせる場である必要があると考えた。

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【Menu Book Design】
メニューブックは、表1表4を黒気泡紙で挟み込む和綴じ製本にて作成。表紙のロゴは白の顔料箔で押している。1ページ目は濃淡のある透け感が特徴のシープスキンでリッチに見せ、中面はオンデマンドでも写真への印刷適正が高いロベールで印刷した。

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【Pamphlet Design】
体験コースのセミナーで使用するためのパンフレットは、表紙にトレーシングペーパーを一枚挟むことで透け感を作り、和としての上質感を演出。中面はアラベールでのオフセット印刷。

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【Shop card Design】
ショップカードは越前和紙に顔料つや消し黒箔で印刷。一点一点の素材から丁寧に作り込んでいく「ROKU〈六〉」にちなみ、素材感・クラフト感のイメージを強く感じるように意図して制作した。

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【Tool Design】
紹介リーフレットはアラベールで印刷。開くたびに世界観を変えることのできる構成を加味し、両観音で作成。
コースターは水に濡れたとしてもある程度へたらない強度が欲しかったため、コットン紙に。六角形はダイカットで成形し、予算をある程度コントロールするため、特色で黒を敷いた上に活版でロゴを印刷した。エッジにもカラーを入れることで、白色が黒いカウンターにおいて目立つことを回避。

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【Space Design】
空間は基本的に設計会社であるdesignground55によって進めていただいているが、袖看板や正面看板、のれん、掛け軸などのアイテムは協力し作成。存在感を感じつつも前に出過ぎないバランス感で調整。掛け軸はあまり派手になりすぎない「簡素な美」を表現するため、表装を極力排除している。

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【Web Design】
WebはROKU〈六〉ブランドの明るい世界観を損なわないよう注意しつつも、静かに世界と向き合うための場所である「ROKKAN」としての深さも表現するため、バランスが重要だった。明るさを感じさせる陰影と、店内の壁にふんだんに使用している和紙にインスパイアされたテクスチャを用いることで、双方の世界観をブリッジさせている。

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【Photo Direction】
ホテルの茶寮を借り切り撮影。カクテルを限られた空間で撮りつつ、その中で情緒的な精神性を表現できるフォトグラファーとして、小林茂太氏に依頼。春夏秋冬ごとに表情を変える和菓子とのペアリングカクテルに、趣向を凝らしたカクテル、店内の空気感を撮影した。

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Creative Director: Yu Miyazaki(MY HEAD LLC)
Art Director / Graphic Designer: Yu Miyazaki(MY HEAD LLC)
Space Director / Designer: Seiji Kumamoto(designground55)
Space Designer: Makoto Doi(designground55)
Web Engineer: Mokei Kameda(PRMO Inc.)
Photographer: Shigeta Kobayashi
Movie Director: Shunsuke Ando
Production: MY HEAD LLC / designground55
Client: Suntory Spirits Limited