DIMENSION
Graphic, Editrial, Art Direction, Photo Direction
【Background】
MY HEADの宮崎が中目黒Gallery 7℃と、渋谷ヒカリエで開催した個展。ここまで自分を育ててくれたグラフィックデザインに恩返しをするために発案した研究プロジェクト「Graphic in Progress」。その第一回目として「DIMENSION」と銘打ち、そのタイトル通り、「グラフィックのもつ2次元性についての問題」をテーマに研究した。
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グラフィックデザイナーが個展をする意味をずっと考えていた
に詳しい。
【Concept】
アート作品には「物性」があり、美術館などのホワイトキューブにあっても、空間を支配できる。しかし、グラフィックデザイン作品は、どんなに作品のクオリティが高くても、そこにあるだけでは空間を支配するには至らない。これは何故か?
そういった問いから始まり、「デザインは、どこまでいっても情報でしかないのではないか」と考えた。その一因として、印刷機を通すことによって「痕跡」という多大なる知覚情報が分解されてしまい、グラフィックデザイン作品の3次元的な物性が損なわれているのではないかという仮説に至った。ちょうどアナログレコードの膨大な情報をMP3がカットしてしまっているように。それこそがテーマである「DIMENSION」、すなわち人間の知覚する「2次元」と「3次元」への仮説と検証だった。
実際に検証する手段として、絵具を被せたモデルの写真を印刷し、その作品自体に絵具を塗ることで人の手の痕跡を発生させるという手法をとった。
あくまでこの作品はアートではなくデザインなので、その絵具をどうレイアウトするかは、PC上で検証した上でその通りに手を動かした。そうすれば印刷をする上で、機械を通すか人の手で行うかの違いになり、設計という意味でのデザイン性は損なわない。
【Tabloid】
本展示ではタブロイドを発行し、そこにひとつひとつ要素に分解した上でコンセプトを全て記した。それは、この作品群があくまでアートではなくデザインであるということを強調するためだった。デザインはアートのように観覧者に解釈を委ねるものではない。全て説明ができてこそという考えによるものだ。本展示における仮説に対する検証は、ある一定の効果をあげたように思える。
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グラフィックデザインにおける「次元」への課題とその解決策
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【Material】
展示する上で一番こだわったのは、いかに「額」に頼らない展示方法にするかだった。額縁というのは、簡単に3次元性、すなわち物性を獲得できるツールだ。それをしてしまったら元も子もないので、額を使わずして、なるべくフラットでシワなどが寄らない状態で展示をしたかった。そこで、アルミ合板にビジュアルを直接圧着させる手法をとることにした。B0という大きさだったが、これならばなるべく3次元的な厚みは抑えたまま、なおかつ強度を維持できる。かくして、展示は完成した。
ちなみに展示終了後の作品は僕には不要なのでWEBストアに永年置いてある。もしご興味のある方いれば是非。
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MY HEAD DESIGN
Art Director / Graphic Designer:Yu Miyazaki
Photographer:Shigeta Kobayashi